原料と製法について |
味噌の主原料は『畑の肉・大豆』・『米』あるいは『麦』、そして『塩』。その他に種麹が必要です。よく味噌は米味噌、麦味噌、豆味噌に分類されますが、それは麹の原料を冠してつけた名なのです。
全体の80%を占める米味噌のなかでも、仙台味噌は赤味噌と呼ばれ赤みを帯びた褐色味噌の代表格。同じ米味噌でも白色や淡色の味噌は、大豆の蒸し方や熟成期間の長さに拠って、メイラード反応(大豆などのアミノ酸が糖と反応して褐変すること)が異なり、そこから色の違いがでてくるのです。
味噌はそれぞれ独特の味や香りがありますが、その中でも仙台味噌は旨味が濃厚で長期にわたる熟成によってつくられた微妙な香りが特徴です。
作り方を知りたい方は『仙台味噌の出来るまで』をご覧下さい。
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仙台味噌の歴史 |
伊達政宗公が仙台城築城のおり城内に『御塩噌蔵(ごえんそくら)』という味噌工場をつくりました。そこに中国の発酵の技術を持つ古木市兵衛を呼び入れ、良質の味噌造りを命じました。
後に、古木市兵衛は芭蕉の辻近くに店を持ち味噌の製造販売を始め、この店が日本で最初の味噌屋と言われております。 さらにその後、古木市兵衛は味噌屋仲間を結成味噌造りをひろく教えました。佐々重は嘉永年間にこの味噌屋仲間に加入し、安政元年(1854年)に味噌造りを始め現在に至ります。
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仙台には出し汁文化がありませんでした。 |
仙台市は仙台平野を車で30〜40分走ると山や海に着く立地で海の幸、山の幸が豊富なところです。しかし海の波が荒く、昔は太平洋岸の航行は困難を極めました。北海道函館近辺で収穫した昆布が仙台に届けられる事はなく、昆布は日本海を経て酒田、金沢、そして陸送し京都の食文化へとつながりました。
その為、仙台には昆布出し汁文化が無く、代わりに山や海の幸を美味しく食するための旨味(うまみ)調味料として「仙台味噌」が生まれてきました。仙台味噌は素地の欠点(例えば青魚の匂いや、山菜等の苦味等)を抑えると共に、旨味を加える力を備えていきました。 |
どんな料理にあうの |
仙台味噌はどんな材料とも良く合いますが、特に秋刀魚団子汁、サバの味噌煮、あさり、シジミ、豚汁などは特にオススメします。実は仙台味噌は他のにおいを吸着する作用が強く、素材の欠点となるにおいを抑え、素材の良さを全面に打ち出します。また、主張しすぎず脇役に徹していますので、具を少し変えるだけで毎日の味噌汁の味が広がり、食べ飽きしないのも特徴です。
また、生味噌には味噌の酵素が残っていますので、魚や、肉を味噌につけると旨味が増します。
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味噌の成分 |
たんぱく質・ペプチド・脂質が豊富でカロリーが低く、リノール酸も豊富に含まれ、発酵により消化吸収が良好な食品です。また、発酵により約1%のアルコールが出来、味噌の香りとなります。
安定に発酵熟成を促す為に5%〜13%の食塩が入っています。
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味噌の塩分が血圧を上げるの? |
遺伝的に体内のナトリウム濃度が高まると血圧が上がる方がいらっしゃいますが、日本ではその遺伝性高血圧症は少ないないようです。このナトリウムは生命維持のためにも必要な物質です。しかし人間の体は良く出来ていて、過剰なナトリウムを体外に出す為に海草や野菜を食べています。
野菜の中にはカリウムがその役目をはたしております。 野菜を少ない塩分で食する事が大切となります。つまり具沢山の味噌汁を飲んでいればそう心配する必要もない訳です。
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お椀一杯の塩分量はどのくらい? |
約1.5gです。どの味噌を使っても味噌汁の塩分は約1%です。 つまりお椀の中の水量が120〜150ml入っているとして、その1%つまり1.2〜1.5gです。
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御御御付 |
味噌汁はよく『おみおつけ(御味御汁食)』とも呼ばれますが、その字から察すると汁の上に具をたっぷりのせて、おかずのように食べていたのでしょう。
仙台では材料から出るうまみがあったから、昆布や鰹などのだしが発達しなかったとも考えられます。海の幸・山の幸に恵まれていた仙台では、具沢山の味噌汁がバランス豊かな栄養食として尊ばれたのでしょね。『味噌汁は医者殺し」ということわざも有るほど。高い栄養価を昔の人は経験で知っていたのでしょう。
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